今井町公民館 ー「ミチコオノ日記」読者集会所ー

旧称:「ミチコオノ日記」読者日記もしくは私的ファンサイト

第18話 第一印象と感想

michiko-ono-diary.hatenablog.com
「ミチコオノ日記」の18話が公開された。昨年末に作者の人が病気療養に入られて以降、私自身は「華氏65度の冬」のヘッダー画像を描いて頂いた時を最後に、全く連絡を取り合っていない。その後、ジェーンさんの猫の名づけ親になっていたり、サラさんのブログのヘッダー画像を描いていたりといった情報が伝わってくる中で、「しっかり生きている」というメッセージだけは受け取っていたものの、正直、心配していた。「ミチコオノ日記」の本編がこんなにも「早く」再開されたことに、実は少々驚いているのだが、これをもって作者の人がそれだけ「回復」しているのだと判断していい気には、まだなれない。文字通り命を削りながら描いているのではないかと、気が気でならない。しかし同時に今の作者の人にとってはそれこそ「描くことが生きること」になっているのだろうとも想像できるわけで、私には本当に何とも言いようがない。新作が出た時には毎回書いてきた「第一印象と感想」を今まで通りの形でここに綴っておくことが、取りも直さず私の果たすべき唯一の役目だと思う。

現在、「ミチコオノ日記」からはコメント欄が撤去されており、ブックマークコメントも非表示になっていて、あのブログを完全に「作品だけの世界」にしておこうという、作者の人の意思がうかがえる。カオリンさんのコメントで「17話が消えているのですが、きっと何かお考えがあってのことなのでしょうね」とあり、ビックリして見に行ったのだったが、消えていたのは末尾に書かれていた「ナギさんへ:これが本当の私です」みたいな読者に宛てたコメント部分のみであり、「文字のない日記」としての作品部分は完全に残っていた。13話あたりからのあの人の作品世界は、いろいろな読者とのものすごく密度の濃いコミュニケーションを通じて作り上げられてきた感があるが、このあたりでそれを一旦「リセット」しようという作者の人の姿勢が示されているのだと思う。そこに込められた意図までは私には分からない。

しかしながら作者の人が現在そうした「外部の情報」を完全にシャットアウトした上で創作にのみ打ち込んでいるのかといえば、そういうことでもないらしい。何となれば、今回の話に使われている「挿入歌」は、この2月になってバテオさんのブログで初めて公開されたものである。あの人、他の人のブログは現在も「ちゃんと」チェックしているのだ。また「作品以外の言葉」で語ることはやめている状態であっても、作者の人が一人一人の読者のことをいかに大切にしているかということは、最近公開されたサラさんのヘッダー画像にも改めて示されている。従って、この公民館に何か書き込んでおけば、それは必ず何らかの形であの人の目に触れる状態が続いているのだと思う。だから私はこの「第一印象と感想」を今まで通りに作者の人が読んでくれることを第一に想定して書くし、他のみなさんにおかれましても、この「公民館」の掲示板その他のコンテンツをぜひ「ミチコオノ日記」のコメント欄代わりに使って頂きたいと思う。

さて、作者の人が「溜めに溜めた」上で公開に踏み切ったと思われる今回の18話なのだが、今までになく長大であり、また内容も込み入っている。特に語り手の目線や時間軸が目まぐるしく入れ替わるのはこれまでになかったパターンであり、そうした「シーン」の数を数えてみると全部で10もの場面で今回の話は構成されていた。例によって初読の段階ではそういった「構成」を整理するのが精一杯であり、作者の人が届けようとしたメッセージを私自身がきちんと受け止められているのかどうかは極めて疑わしい。またそれが私自身の責任なのか作者の人の描き方の責任なのかということも、例によって擦り合わせてみなければ、分かったようなことは書きようがない。とりあえず以下は私が今回の18話を一読した上での各シーンの内容整理、そして感じたことや疑問に思ったことの覚え書きである。



シーン1 (彩目線)
彩:陸上部。「私」
まゆこ:陸上部。
ナキタ:サッカー部

  • この場面の登場人物は、私が覚えている限り、全員が初登場だと思う。そして時間軸としては、「ミチコオノ日記」の作品世界からおそらく10年くらい前の話なのだと思う。(彩とナキタの間に生まれたと思われる子どもが現在小学2年生であるという情報が、後段に出てくる。画像がぼやけた感じになっているのは、それが「記憶の中の風景」であるということにもよるのだろう)。
  • その長い足」と言われると、何だか(彩さんでなく)他人の足のように聞こえる。気になる。
  • 情熱を使っていた」…「使ってきた」と書かない理由がこれまた気になる。
  • よけいに持っているハードルが重く感じられる」…最初私は「いつもより沢山ハードルを持っていた」のかと思ってしまったので、そういう誤読を防ぐためには「持っているハードルがよけいに重く感じられる」とした方がいい。(イヤなやつか私は…)
  • 私がそっちを見ないように振りかえす手は怒りで震えていた」…「私がそっちを見ないようにまゆこが振りかえす手」のことかと思ってしまうのでここも私なら「そっちを見ないように(して)私が振りかえす手は怒りで震えていた」と書く。



シーン2(ミユキ目線)
マンションのベランダの女性(約10年後の彩?)
ミユキ
ジン

  • 「ほら 一番上の階…」というジンの台詞で場面は「現在」の今井町に移る。と言っても、ミユキが髪を切る前なので引越しのちょっと前の話である。
  • 色がクッキリとついた最初の絵の女性。裸足なので初めは土さんかと思った。
  • 多分ウチらぐらいだと思う」…関東地方では男でもウチらって言うのかってこれはただの感想。
  • ジンの話に出てくる「いとこの友達」は、たぶん彩さんのことだと考えて間違いないのだと思う。
  • 自分はホテルで働いて、漁師もしていると話してたみたいで」→「自分はホテルで働いていて、漁師もしているとか話してたみたいで」
  • そしたら感動した友達は思わず」…ここは絶対「それで感動した友達は思わず」とした方が良い。友達が男の子に抱きついたこと自体には別に事件性はないわけで、事件性はその後に出てくるのだが、「そしたら」がここで使われるとその後の出来事の事件性が霞んでしまう。
  • いとこも「聞こえた、でも何言ってるかわからなかった」って嘘を言ったんだって…ここは「いとこは」ですね。「いとこも」というのは「友達も」嘘を言っている時の書き方。
  • 「ある人ことを消えてしまえばいいって考えていたんだよ」…「ある人のこと」ですね。痛恨の誤植ですね。
  • 「ジュース買っくるよ」…神奈川弁か?
  • 車の下に吸い込まれてゆく赤い髪の毛の女の子は何者なのかということを考えることが、多分この18話を考察する上では一番重要なことなのだろうが、どうせ考えても答えがあるはずがないので私は最初から投げている。「消えてゆく感じ」が「鏡の中に吸い込まれてゆく感じ」を連想させることに、たぶん後段の話との何らかの関連があるのだろうが、それ以上のことは分からない。あと、ミユキの中の「秘めた望み」というのは片寄のこと以外にありえないはずなので、別にミユキの側に「ドキッとしなければならない理由」はないはずだと思う。



この「シーン2」の中には、今回のエピソードの中でも特に私にとって印象的な絵が多かった。



例えばこの絵。夜も間近だというのに周りの風景が昼間以上にクッキリ見えるという不思議な感覚には、何だか奇妙な既視感を覚える。特にこの場面では、周りよりいっそう暗くて然るべき「トンネルの中」がまるでライトアップされた遊園地のように明るく描かれていて、見る人を夢の世界に誘う。高岡ヨシさんが以前に「私はこの絵の世界を知っている!」と叫んだ時と恐らく同じような気持ちを、私もこの場面に感じた。



…この絵、大好きだ。惣菜の匂いが鼻に飛び込んでくるような気がした。誰かと一緒に見る分には世界で一番幸せな風景だけど、一緒に見る誰かがいない人間にとっては世界で一番さみしくて排他的な風景である。



シーン3(会話劇)
「オシャレーズ」の5人
岩谷数美
黒田ヨリト
三嶋智也
馬場ショータ
青田ケンジ…はぐれて別行動
風間テン…初登場

  • 「ネエ、本当にいいの?」という数美の台詞で場面が切り替わる。印象的な絵の多い場面だが、夕陽も鏡も出てこないし、このシーンがなぜ今回のエピソードの中に挿まれているのか、正直理由が分からなかった。次回以降への伏線か何かだろうか。
  • 「承知の助」…サラさんへのオマージュであろう。今回のエピソードのひとつのキーワードになっている言葉。ここで初出。
  • このシーンの挿入曲「さわらせて」は、下のリンクで聞けます。私は、終わり方が好きです。

natsubatesaurus.hatenablog.com


初登場のこの風間テンという人、謎の多い雰囲気だが、今まで作者の人が描いてきた女性の中で一番私好みな顔をした人である。だから気になる。瞳の色がねずみ色。実に気になる。そういえばこのシーンには「夕陽も鏡も出てこない」と書いたけど、テンさんの登場シーンは「鏡に写った姿」だし、テンさんがケンジを見つけるのも「鏡に写った風景」を通してである。とはいえテンさんが「鏡の世界の住人」であるとかいう風にも、今のところ考えにくい。気になる。



シーン4(会話劇)
片寄龍二
龍二の姉夫婦?

  • 「好きな人できたら…ミチコに教えといて」という以前にも出てきたミユキの言葉でシーンが切り替わる。ミユキは髪を切ってるから、時間はまた少し動いている。



シーン5(ミチコ目線)
オノミチコ
「小二 なきたひかり」(名前のみ)
ミユキの前に現れた少女

  • ミユキの素描が出てきて、シーンが切り替わる。
  • 「もし神さまがいたとしたらその神さまはわたしに性格が少し似ていてる。説明を面倒くさがりホントは一番したいだろうことから迂回させ続ける。」…というミチコの述懐に、何となく作者の人の魂の叫びを感じ取ったような気がした。やはりあの人はミチコさんの目を通して世界を見ているのだと思う。
  • 赤毛の女の子、この図書館にも登場する。多分、世界の至る所に偏在しているような人なのだと思う。



シーン6(彩目線)

ナキタ
なきたひかり
記憶の中の第三の人物

  • 「現在」の彩の目に映る風景と、記憶の中の風景とが錯綜している。
  • 「まゆことナキタが交通事故に合った」→遭った
  • 彼らからはそんな恐ろしいことが待ち受けているようには見えなかった →「彼らはそんな恐ろしいことが待ち受けているようには見えなかった」もしくは「彼らからはそんな恐ろしいことが待ち受けているようには思えなかった」
  • 「水に写ってるように」→映って





…この連続シーン、私は最初、彩が凶器のようなものを握ってナキタに切りつけているのかと思ったし、画面に飛び散っているのは血飛沫なのではないかと思った。だがよく見ると最初の絵の中の「手」が握っているのはナキタの車椅子のハンドルであり、ここでは彩と向き合う形でナキタの背後から「第三の人物」が姿を表す様子が描写されているのである。そして三枚目の絵で初めて正面から描かれたお月様のような顔をした女性。たぶん我々が今までに一度も見たことのない顔だと思う。(明らかに、まゆこの顔でもない)。この人は、誰だろうか。そしてこのシーンの最後に出てくる「アンタナンカキエテナクナレバイイ」は、誰が発した言葉なのだろうか。彩だろうか。この人だろうか。私は今のところ、答えを持たない。



シーン7
風間テンのアパートから帰る青田ケンジ。オシャレーズの三嶋智也が迎えに(?)来ている。

…このシーンも、わざわざ挿まれている理由がよく分からない。ケンジを迎えに来ていると思しき人物が誰なのか一瞬よく分からず、いろいろ調べ直したりしたが、たぶん向井拓也ではなくオシャレーズの智也である。



シーン8
ジンの話

…今回のエピソードの「謎解き」がなされているシーンなのだと思うが、13話と同様ある種のカタルシスは感じるものの、全然「謎が解けた」感じがしない。謎は深まるばかりである。特にジンが、「青子ちゃんが目を覚ましてから起こった異変の方が大事な異変」とわざわざ強調していることの意味が、今の私には全く分からない。





シーン9
結婚した時思われる彩とナキタ。
その双子の娘のマヤとヒカリ。

  • 「ヒカリ描くと4人描くことになるから面倒くさい」…たぶんマヤちゃんは水の上に映った像まで含めて描こうとしているから人数が増えるだけなのであって、別にドキッとするべき台詞ではないのだと思う。
  • 「いつの間にか足元救われて」→掬われてもしくはすくわれて

…このシーンで彩さんは、ちょうど前のシーンの青子さんと同じように目を片目ずつつぶって部屋の中をのぞいている。何を「確かめ」ようとしているのだろうか。自分の双子の子どものどちらかが「本当の子どもではない感覚」でも、この人にはあるのだろうか。

私には皆目わからない。

あと、繰り返し出てくる「二本の足」というキーワードがここで改めて出てくる。彩さんの足が二本であるということは、このエピソードの中で明らかに意味を持っている。しかしその意味は、私にはやはりわからない。



シーン10
オノミチコ
大関先輩



…この証明写真の機械の中の絵でシーンが切り替わるのだが、何となく大関先輩の足の下に見えるのはあの赤毛の女の子の頭なのではないかという感じがしてしまう。これって「誤読」なのだろうか。



…この大関先輩、本当にオトナの顔をしてるなあ。

ミチコに向かって片寄が叫んでいる。ここではミユキの「ノゾミ」が叶っている。あの赤毛の女の子は、たぶん「いい人」なのだと思う。

このシーンでは、他のシーンにも何回か出てくる「啓示」という言葉が改めてキーワードとして繰り返される。「You could call it an omen/ Point ya where ya goin'」というザ·バンドの歌の中に出てくるフレーズを、私は何となく思い出した。
nagi1995.hatenablog.com

作者の人へ:久しぶりに、メール打っときました。返事は、気が向いたらでいいです。新作も、気か向いたらでいいです。ではまたいずれ。

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