今井町公民館 ー「ミチコオノ日記」読者集会所ー

旧称:「ミチコオノ日記」読者日記もしくは私的ファンサイト

借りてこない猫 ジェーン

山道を車で走っていて
彼女は猫に会った

ミルクティーみたいな
色の猫だ 少しよろよろしている



車を端に止め
その猫を抱いて歩き出した

抱えられながらじーっと彼女の
顔を見ている

少し歩くと雨が降ってきた

先を見るとトンネルがあった

猫も一度トンネルの方を見た

トンネルの中には
黒い猫がたくさんいたが
暗がりと同化してほとんど見えなかった



その中に二匹白い猫がいた

白猫達のお母さんは白猫で
お父さんが黒猫だった

二匹は自分達が
何色の猫かわかっていなかった

好奇心からトンネルの
入り口まで来た2匹は
抱えられた猫に何か合図をかけられて
お互いの顔を見たあと
彼女の足にまとわりついた

「じゃあ みんなで雨宿りしよう」

そう言ってトンネルに入った彼女は
すぐに自分の車のホーンの音を聞く



鍵を開けてきてしまった

彼女は急いで白い二匹も抱え
雨の中を走る

雷が鳴る

車はそこにあった

ただし 後部座席に
段ボール箱が置いてあって
中に二匹の小猫がいる

1匹の方は毛足が長い

彼女は抱えていた3匹を後部座席に置く

かなり濡れてしまった

プールから上がった子供達みたいだった

エンジンをかける

温風が出てくる

毛づくろいを始めた猫達を
ミラーでみながら彼女は言う

「わたしの名前は ジェーン
小説家のジェーン・オースティンが
好きだから」



動物病院に着いた彼女は
ペットの名前の欄に「ショーン」
と書き入れた

「あなただけ急ぎでごめんなさい」

ショーンの山吹色の目を見ながら
今朝割ったお皿に それに近い色があった
事を思い出していた



「今度はあなた達が花瓶を割る番ね」



雷はもう遠くで鳴っていた











ミチコオノ

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作品集

公民館への寄稿記事

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